■ 研究室紹介

 本研究室では、国内外の教育制度や教育政策に関心のある学生をお待ちしています。具体的には、日本社会の国際化は教育界においても喫緊の課題となり、戦後の教育体制の見直しを迫られています。外国人だけではなく、国籍に関係なく異文化に育つ子どもにとって開かれた教育制度・教育政策とは何か。こうした問題により早くから取り組んでいる先進地域との比較から研究に取り組みたいと考える学生を歓迎します。
 園山は、多民族国家として社会統合に腐心するフランスの教育政策や、EU各国との比較教育制度研究に取り組んでいます。髙橋は、米国の教育財政訴訟に学び、裁判を通じた教育政策形成について研究しています。


■ 各スタッフの研究課題

○  園山大祐 教授


『比較教育制度学研究』
 本研究では、海外の教育制度との比較を通じて、教育制度の特徴を分析し、世界の教育の傾向、その普遍性や法則をとらえようとする。
 特に、EU(ヨーロッパ連合)における教育制度比較および政策の動向に注目する。なかでもフランス語圏を中心に、都市郊外における教育病理、移民、貧困問題のフィールドワークを継続している。日仏における外国人児童生徒の学業問題に関心がある。公教育という枠組みから周縁化ないし排除されてきたマイノリティの包摂(inclusion)の可能性について取り組んでいる。

最近の業績

編著 世界の学校 放送大学教育振興会 2024.3
共著 若者の権利と若者政策 明石書店 2023.10
共著 SDGs時代にみる教育の普遍化と格差 明石書店 2023.5
監修 教師の社会学 勁草書房 2022.9
共著 コロナ禍に世界の学校はどう向き合ったのか 東洋館出版社 2022.2

リサーチマップ:https://researchmap.jp/read0059967/
科学研究費助成事業データベース:https://kaken.nii.ac.jp/d/r/80315308.ja.html


○  髙橋哲 准教授

『教育法学研究』
 本研究では、子どもの教育を受ける権利の観点から、教育法制の日米比較を通じて現行教育法制の問題、また、あるべき教育行政、教育制度のあり方を追究している。
 担当者はこれまで、日本の教員の長時間労働や教員不足をめぐり、米国の教育法、労働法の観点から、現行制度の問題点を指摘してきた。

最近の業績

共著 世界の学校 放送大学教育振興会 2024.3
編著 世取山洋介著作集 全3巻 旬報社 2024.2
共著 道徳教育の地図を描く 教育評論社 2022.12
単著 聖職と労働のあいだ 岩波書店 2022.6
共著 コロナ禍に世界の学校はどう向き合ったのか 東洋館出版社 2022.2

リサーチマップ:https://researchmap.jp/education-law/
科学研究費助成事業データベース:https://nrid.nii.ac.jp/ja/nrid/1000010511884/


■ ゼミナールの内容
      
【2024年度】
Kimberly Jenkins Robinson (ed.) (2019) A Federal Right to Education: Fundamental Questions for Our Democracy. NY University Press.
横井敏郎編『教育機会保障の国際比較』勁草書房
園山大祐編『学校を離れる若者たち』ナカニシヤ出版

【2023年度】
Charles Russo and Jan DeGroof (ed.) (2008) The Employment Rights of Teachers. Rowman & Littlefield.
Simon Springer, Kean Birch, Julie MacLeavy(ed.) (2016) The Handbook of Neoliberalism. Routledge.

【2022年度】
Colin Brock and Nafsika Alexiadou (ed.) (2013) Education Around the World. Bloomsbury.
Claire Dupuy (ed.) (2021) Converging Regional Education Policy in France and Germany. Palgrave.
Andreas Walther (ed.) (2017) Governance of Educational Trajectories in Europe. Bloomsbury.
清水睦美『ニューカマーの子どもたち』勁草書房
三浦綾希子『ニューカマーの子どもと移民コミュニティ』勁草書房
清水ほか編『日本社会の移民第二世代』明石書店

【2021年度】
Richard Alba and Jennifer Holdaway (ed.) (2013) The Children of Immigrants at School. New York Univ.Press.
Trevor Corner (ed.) (2015) Education in the European Union Post-2003 Member States. Bloomsbury.
Trevor Corner (ed.) (2015) Education in the European Union Pre-2003 Member States. Bloomsbury.
Stephanie Ann Houghton (ed.) (2013) Native-Speakerism in Japan. Multilingual Matters.
Mark Bray (ed.) (2014) Regulating Private Tutoring for Public Good. CERC.
園山大祐編『学校を離れる若者たち』ナカニシヤ出版
園山大祐編『フランスの社会階層と進路選択』勁草書房

【2020年度】
ハヤシザキほか編『世界のしんどい学校』明石書店
堀尾輝久『人権としての教育』岩波文庫
宗像誠也『教育行政学序説』有斐閣
兼子仁『教育法』有斐閣
川上泰彦『公立学校の教員人事システム』学術出版会
Louis Volante et al.(eds.) (2018) Immigrant Student Achievement and Educational Policy. Springer.
Richard Breen and Walter Müller (2020) Education and Intergenerational Social Mobility in Europe and the United States. Stanford University Press.
Trevor Corner (ed.) (2015) Education in the European Union Post-2003 Member States. Bloomsbury.

【2019年度】
『季刊 教育法』
Lore Van Praag et al.(eds.) (2018) Comparative Perspectives on Early School Leaving in the European Union. Routledge.
Aina Tarabini and Nicola Ingram (eds.) (2018) Educational Choices, Transitions and Aspirations in Europe. Routledge.

【2018年度】
レ・タン・コイ『比較教育学』行路社
Anthony Heath and Yaël Brinbaum (eds.) (2014) Unequal Attainments: Ethnic Educational Inequalities in Ten Western Countries. OXFORD UNIVERSITY PRESS.
渡辺秀樹・金鉉哲・松田茂樹・竹ノ下弘久編『勉強と居場所』勁草書房
杉村美紀編『移動する人々と国民国家』明石書店
フランス教育学会編『現代フランスの教育改革』明石書店
日英教育学会編『英国の教育』東信堂
仲田陽一『知られざる中国の教育改革』かもがわ出版

【2017年度】
Michelle Jackson (ed.) (2013) Determined to Succeed ?. Stanford University Press.
Andreas Hadjar and Christiane Gross(eds.) (2016) Education Systems and Inequalities. Policy Press.

【2016年度】
Heintz-Dieter Meyer and Aaron Benavot (eds.) (2013) PISA, Power, and Policy. Symposium Books.
Paola Mattei and Andrew Aguilar. (2016) Secular Institutions, Islam and Education Policy. Palgrave.
小島祥美『外国人の就学と不就学』大阪大学出版会
園山大祐編『岐路に立つ移民教育』ナカニシヤ出版

【2015年度】
Jaap Dronkers (ed.) (2010) Quality and Inequality of Education. Springer.
田中治彦・杉村美紀編『多文化共生社会におけるESD・市民教育』上智大学出版
原伸子・岩田美香・宮島喬編『現代社会と子どもの貧困』大月書店

【2014年度】
Stephen Lamb, Eifred Markussen, Richard Teese, Nina Sandberg and John Polesel (eds.) (2011) School Dropout and Completion. Springer.
R.アーノブ、C.A.トーレス、S.フランツ編『21世紀の比較教育学』福村出版

【2013年度】
二宮皓編『世界の学校』学事出版
田中圭治郎編『比較教育学の基礎』ナカニシヤ出版
『比較教育学研究』、『異文化間教育』、『国際理解教育』、『移民政策研究』、『教育社会学研究』、『教師教育学会年報』
マーク・ブレイ他『比較教育研究』上智大学出版
松尾知明編『多文化教育をデザインする』勁草書房
Ryoko Tsuneyoshi, Kaori H. Okano and Sarane Boocock (eds.) (2011) Minorities and Education in Multicultural Japan. Routledge.
Akito Okada. (2011) Education and Equal Opportunity in Japan. Berghahn Books.

【2012年度】
フランス教育学会編『フランス教育の伝統と革新』大学教育出版
園山大祐編『学校選択のパラドックス』勁草書房
江原裕美編『国際移動と教育』明石書店
『比較教育学研究』、『異文化間教育』、『国際理解教育』、『移民政策研究』、『教育社会学研究』、『教師教育研究』

【2011年度】
グルー・ポルシェ編『比較教育』文教大学出版事業部
園山大祐編『日仏比較 変容する社会と教育』明石書店


■ お知らせ

「<今 教育を考える>世界の学校はコロナ禍にどう対応したのか 大阪大 園山大祐教授に聞く」中日新聞(2022年9月28日)
パンデミック「世界の教育現場の今」全6回シリーズ(2022年1-4月現在)(記事へ
「『学校の社会学』本田由紀先生」朝日新聞書評欄(2020年7月4日)(記事へ
「9月入学、どう考える」京都新聞(2020年5月28日)
「移民政策の現状と課題㊥ 欧州、子孫世代の孤立深刻」日本経済新聞(2018年4月26日)
「(耕論)義務教育に留年は必要か 町村信孝さん、園山大祐さん、青砥恭さん」 朝日新聞(2012年5月8日)(記事へ
日本語で読めるフランスの『学校の社会学』文献リスト(田川千尋作成)(文献リストへ

■ 教育制度学研究室資料室
園山文庫

■ 連絡先
FAX:06-6879-8113 (研究室代表)
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘1番2号
大阪大学大学院 人間科学研究科 教育制度学研究室
大阪大学人間科学研究科へのアクセスマップ( https://www.hus.osaka-u.ac.jp/ja/access.html

■ リンク
フランス教育学会
日仏教育学会
日本教育行政学会
日本比較教育学会
国内社会の紛争としての移民問題:フランスの市民統合モデルの変化に関する学際的研究
科研基盤(A)(19H00618)「中等教育の生徒が早期離学・中退・進路変更する要因と対策に関する国際比較研究」
コロナ禍と教育