研究代表者
【氏名】
中野 裕二 (ナカノ ユウジ)
【所属】
駒澤大学・法学部・教授
【専門】
政治学
【主要業績】
『フランス国家とマイノリティ-共生の「共和制モデル」-』(国際書院、1996年)、『日仏比較 変容する社会と教育』(共著、明石書店、2009年)、『移民の社会的統合と排除:問われるフランス的平等』(共著、東京大学出版会、2009年)、『排外主義を問いなおす:フランスにおける排除・差別・参加』(共編著、勁草書房、2015年)
【現在の研究】
フランスのネーションと国家構築の歴史や国家の変容の実態との関係性の明確化に関心を持っています。フランスの国家構築と国民形成の特徴を踏まえて、グローバリゼーション、EU統合などに直面するフランスにおけるネーションの特徴をナショナリズムや国民化の観点から把握するため、理論構築の模索とフランスの実態の把握に努めています。フランス特殊論に陥らないために、比較の視点を発展させていこうと考えています。
研究分担者
【氏名】
園山 大祐 (ソノヤマ ダイスケ)
【所属】
大阪大学・人間科学研究科・准教授
【専門】
比較教育社会学
【主要業績】
Liberté, égalité, individualité(共編著、CNRS、2008年)、『日仏比較 変容する社会と教育』(共編著、明石書店、2009年)、『学校選択のパラドックス』(編著、勁草書房、2012年)、『学力格差是正策の国際比較』(共著、岩波書店、2015年)、『排外主義を問いなおす:フランスにおける排除・差別・参加』(共編著、勁草書房、2015年)など。
【現在の研究】
EU(ヨーロッパ連合)における教育制度比較および政策動向に関心がある。なかでもフランス語圏を中心に、都市郊外における教育病理、移民、貧困問題のフィールドワークを継続している。最近は、日欧における外国人・移民児童生徒の学業問題に関心がある。公教育という枠組みから周縁化ないし排除されてきたマイノリティの包摂(inclusion)の可能性について取り組んでいる。今後は庶民階層全般における教育の公正について探求していきたい。
【氏名】
浪岡 新太郎 (ナミオカ シンタロウ)
【所属】
明治学院大学・国際学部・准教授
【専門】
政治学
【主要業績】
『ポスト代表制の比較政治』(共著、日本比較政治学会編・早稲田大学出版部、2007年)、『移民の社会的統合と排除:問われるフランス的平等』(共著、東京大学出版会、2009年)、『人の移動と文化の交差』(共著、明石書店、2011年)、『排外主義を問いなおす:フランスにおける排除・差別・参加』(共編著、勁草書房、2015年)
【現在の研究】
日本とフランスにおける社会的排除の集中する地域での住民を主体とした政治運動について研究しています。フランスでは、郊外、特にリヨン大都市圏東部郊外におけるマグレブ系移民出身者によるイスラーム運動について、なぜ彼らはイスラームの名のもとに政治運動を組織したのか、運動がどのような政治的メッセージを持っているのか、ほかの非宗教的な政治運動とどのような点で異なるのか、この運動がフランスにおける政策の変容にどのように関与できるのか、などの問いについて研究しています。日本においては横浜市寿町における外国人住民の支援運動について、どのような支援が具体化されているのか、外国人住民の要望と支援の間にはどのようなずれが存在するのか、当事者の運動と支援運動との違いは何かなどの点について研究しています。また、こうした政治運動を民主的に政治過程に組み込んでいくことが可能な政治的枠組みについて比較研究をしています。
【氏名】
森 千香子 (モリ チカコ)
【所属】
一橋大学大学院・法学研究科・准教授
【専門】
社会学
【主要業績】
『レイシズムと外国人嫌悪』(共著、明石書店、2013年)、『都市空間に潜む排除と反抗の力』(共著、明石書店、2013年)、『ヘイト・スピーチの法的研究』(共著、法律文化社、2014年)、『国境政策のパラドクス』(共編著、勁草書房、2014年)、『排外主義を問いなおす:フランスにおける排除・差別・参加』(共編著、勁草書房、2015年)
【現在の研究】
日本とフランスにおける都市、移民・外国人、貧困、排除の関係に関心をもっています。具体的には、フランスのパリ郊外の移民集住地区において、旧植民地出身のマイノリティをはじめとする都市下層の排除がどのような原因によって生み出されているのか、彼/彼女らのそうした状況が、マクロな社会変動にともなってどのように変化しているのか、そのような変化が地域コミュニティや社会全体にどのような影響を及ぼしているのかを、現地で質的調査を積み重ねながら、都市政策や移民政策の動きとあわせて分析しています。同じ問題意識のもと、日本でも東海地方や首都圏近郊の外国人集住団地で調査をすすめています。
また移民・外国人などに対する人種主義、マイノリティ差別の問題についても、実態の把握と改善のための取り組み、課題などを関連NGOと協力しながら検討しています。
研究協力者
【氏名】
島埜内 恵 (シマノウチ メグミ)
【所属】
筑波大学大学院人間総合科学研究科博士後期課程/日本学術振興会特別研究員(DC2)
【専門】
比較・国際教育学
【主要業績】
「フランスにおける移民に対する『出身言語・文化教育』プログラム」(『公教育計画研究』第4号、2013年)、「フランスにおける『出身言語・文化教育』政策の変容-国民教育省による通達の分析を通して-」(『筑波大学教育学系論集』第38号、2014年)
【現在の研究】
フランスにおいて1973年から現在まで行われている「出身言語・文化教育(Enseignements de langue et de culture d'origine:ELCO)」を主な研究対象としている。ELCOとは、フランスと9か国(ポルトガル・イタリア・チュニジア・モロッコ・スペイン・セルビア・クロアチア・トルコ・アルジェリア)との二国間協定を基盤として、主に移民(出自)の子どもを対象に行われる出身国の言語や文化の教育である。ELCOの授業を行うのは、協定締結国が採用、派遣、給与負担する外国人(出自の)教員である。移民の受入国と出身国との連携による教育政策の重要性は認められながらも、その実現にはさまざまな困難や課題が伴う。既に40年以上の歴史を重ねるELCOを事例に、国境を越えて移動する子どもの教育に関する政策課題について検討している。
【氏名】
南波 慧 (ナンバ サトル)
【所属】
一橋大学大学院・社会学研究科・博士後期課程
【専門】
政治学・国際関係論
【主要業績】
「〈境域〉のポリティクス——アラブの春以後のフランス・イタリアの難民(非)受け入れと現代欧州における境界」(一橋大学大学院社会学研究科修士論文、2015年1月提出)
【現在の研究】
フランスを軸に欧州の人の移動と境界の関係について批判的国際関係論の観点から研究しています。現在欧州では、シェンゲン協定に基づき国境を越える人の自由移動が保障されています。このことはフランスにとって人の移動を管理できる国境線が大幅に減ったことを意味しますが、欧州規模で境界が廃止されたのではなく、むしろ域外国境へと管理の空間が移行したことを意味しています。このような状況下において、人の移動に対する境界は、難民や移民が出発する国と直接国境を接していない国と域外国境を持つ国、そして出発国のあいだのせめぎ合いにより国民国家の境界を越えて形成されています。この境界が移動を試みる人々と欧州の領域内で生活している人々に対してどのような影響を与えているかということを欧州レヴェルの組織(欧州連合、欧州評議会)、加盟国(特にフランスとイタリア)、出発国(北アフリカ諸国)の政策から検討しています。
【氏名】
野村 佳世 (ノムラ カヨ)
【所属】
都留文科大学・女子美術大学・津田塾大学・明治学院大学非常勤講師
【専門】
社会学、国際社会学
【主要業績】
「移民政策の変遷にみるフランスの『移民問題』-社会統合モデルを視野に入れて-」(『Sociology Today』、2001年)、「移民政策のトランスナショナルな基準とナショナルな基準の交錯-『サン・パピエ』の事例から-」(『年報社会学論集』、2002年)、『移民の社会的統合と排除:問われるフランス的平等』(共著、東京大学出版会、2009年)
【現在の研究】
グローバル化の進展にともない、歴史的領土と政治的共同体および文化的共同体の一致を志向する国民国家の枠組みは、ますます揺らいでいる。それを示す現象のひとつが、「移民問題」である。研究対象であるフランスもこの例に漏れず、EU統合による域内国境の撤廃や移民に対する市民権の拡大、家族や庇護を理由とする移住の受け入れ、文化的多様性への配慮といった国民国家の枠組みを掘り崩す移民政策を実施する一方、移民排斥を主張する極右政党の伸張により、国民に根強く存在する国民国家への志向を窺わせている。このような国民国家の枠組みをめぐるせめぎ合いを、寛容な受け入れ対象とされてきながら今日規制対象として批判されている家族移民に焦点を当て、EUおよびフランスの政策をめぐる言説の変遷や影響、支援運動の動向、支援者および移民へのインタヴューを通して分析し、国家とその構成員を関係づける新たな枠組みを模索していく。
【氏名】
村上 一基 (ムラカミ カズキ)
【所属】
パリ第4大学・博士後期課程
【専門】
社会学
【主要業績】
『国際社会学』(共著、有斐閣、2015年)、『排外主義を問いなおす——フランスにおける排除・差別・参加』(共著、勁草書房、2015年)、「フランス・パリ郊外の大衆地区におけるムスリム移民の家庭教育——学校教育、地区、文化・宗教の伝達に着目して」(『年報社会学論集』27号、2014年)、「フランス・パリ郊外のコレージュ教職員による移民系家族の問題化——日常経験における文化・エスニシティ」(『フランス教育学会紀要』27号、2015年)
【現在の研究】
フランスの大都市郊外の大衆地区(quartier populaire)における教育問題を、家庭教育の役割や地域社会のもたらす影響に着目しながら研究しています。フランスにおいて、1980年代以降、郊外の大衆地区は失業や犯罪、移民、人種差別や暴力などの社会的困難が集積した地域として、主要な社会問題のひとつをなしてきました。これらの地域における若者の非行・犯罪、また学業挫折などの問題に対して、家族・親は教育関係者や政治家、メディアなどから「教育放棄」と批難されてきました。このような背景のなか、2009年からパリ郊外の2つの地区で調査を行ってきました。経験的調査を通して、それぞれの家庭で行われる教育や、ムスリム系移民家族における文化や宗教の伝承、家族と学校の関係性、また地区における(特に教育をめぐる)モラルヒエラルキーなどを、親や若者の経験から考察しています。
【氏名】
中嶋 洋平 (ナカシマ ヨウヘイ)
【所属】
東洋大学・二松学舎大学非常勤講師
【専門】
政治学・ヨーロッパ統合思想史
【主要業績】
『ヨーロッパとはどこか―統合思想から読む2000年の歴史』(吉田書店、2015年)、ドミニク・シュナペール『市民の共同体―国民という近代的概念について』(翻訳、法政大学出版局、2015年)、『サン=シモンのヨーロッパ(仮題)』(吉田書店、2016年[近刊])
【現在の研究】
ヨーロッパ統合ヴィジョンの歴史的系譜、つまりヨーロッパ統合思想史に興味を関心を持っています。歴史的に発表されてきたさまざまなヴィジョンの中で、統合されるべきヨーロッパがどこからどこまでの領域と認識されてきたか、ヨーロッパに暮らすヨーロッパ人であることの要件はどのように定義されてきたか、ヨーロッパ統合をどのようなプロセスで進めうると構想されてきたか、はたまた旧来の国民国家とヨーロッパ統合体の関係をどのように認識してきたか/どのように並存させうると提案されてきたか、といった問いを探究しています。とくにヨーロッパ統合の牽引役であるフランスの政治に多大な影響を及ぼしてきたサンシモニスム(サン=シモン主義)の原点、サン=シモン伯爵自身の思想に注目しつつ、そこに見出しうる人種混淆的・脱宗教的なヨーロッパ人観から、統合体とその領域をめぐるヨーロッパとイスラム世界の関係を考察しています。
【氏名】
大嶋 えり子 (オオシマ エリコ)
【所属】
早稲田大学・政治経済学術院・助手
【専門】
政治学・国際関係論
【主要業績】
「フランスによるアルジェリアに関連する記憶の承認―国立移民歴史館を中心に―」(『年報政治学』2014(I)、2014年)、「フランス国立移民歴史館におけるアルジェリアの記憶―記憶の承認と統合をめぐる政治」(『日仏政治研究』9号、2015年)、「フランスにおけるアルジェリアに関わる「記憶関連法」─記憶と国民的結合を巡って」(『国際政治』184号、2016年)
【現在の研究】
1990 年代まではアルジェリアに関わる記憶はフランスの政府や自治体などにより無視されてきた。つまり、アルジェリアの植民地支配や独立戦争に関する記念碑の設置や記念日の制定などは一切なかった。しかし、1990 年代以降、政府や自治体はその態度を一変し、法律によりアルジェリアからの引揚者に感謝の意を表したり、記念碑を建てたりするようになった。この態度の変化と、フランスの責任をめぐる立場に注目している。とりわけ、上記のような記憶の承認をフランスの移民統合 (intégration) と国民的結合 (cohésion nationale) を促進する政策と結びつけて検討している。そのために、記憶の承認を行っている博物館や資料館、記念碑、そして記憶関連法 (lois mémorielles) を事例として取り上げ、現地調査や公文書の分析などを行っている。
※以下は2011~2014年に行われた「地域における外国人支援と排除に関する日仏比較研究」(CHORUSプログラム)のページとなっております。
【氏名】
中野 裕二 (ナカノ ユウジ)
【所属】
駒澤大学法学部教授
【専門】
政治学
【主要業績】
『フランス国家とマイノリティ-共生の「共和制モデル」-』(国際書院、1996年)、『来るべき<民主主義>』(共著、藤原書店、2003年)、『日仏比較 変容する社会と教育』(共著、明石書店、2009年)、『移民の社会的統合と排除:問われるフランス的平等』(共著、東京大学出版会、2009年)
【現在の研究】
日本とフランスにおける外国人住民の公的生活への参加について研究しています。フランスでは「外国人住民評議会(Conseil des résidents étrangers)」を設けているストラスブールと「多様性評議会(Conseil de la diversité)」を設置しているボルドーを比較し、移民・外国人の参加に望ましい仕組みは何か。その仕組みが逆に外国人を孤立させたり、フランス人市民からスティグマを与えられたりしないどうかを検討しています。日本では川崎市の「外国人市民代表者会議」を素材として、外国人住民の参加が図られているか、彼らの声はどれだけ市の施策に届いているのか、代表者会議の存在が逆に日本人市民からの差別を生んでいないかなどについて検討しています。
【氏名】
森 千香子 (モリ チカコ)
【所属】
一橋大学大学院法学研究科准教授
【専門】
社会学
【主要業績】
『神の法vs.人の法―スカーフ論争からみる西欧とイスラームの断層』(共著、日本評論社、2007年)『移民の社会的統合と排除:問われるフランス的平等』(共著、東京大学出版会、2009年)、『つながる――社会的紐帯と政治学』(共著、風行社、2010年)、「『施設化』する公営団地」(『現代思想』、2006年12月号、青土社)、「郊外団地と『不可能なコミュニティ』」(『現代思想』、2007年6月号、青土社)
【現在の研究】
日本とフランスにおける都市、移民・外国人、貧困、排除の関係に関心をもっています。具体的には、フランスのパリ郊外の移民集住地区において、旧植民地出身のマイノリティをはじめとする都市下層の排除がどのような原因によって生み出されているのか、彼/彼女らのそうした状況が、マクロな社会変動にともなってどのように変化しているのか、そのような変化が地域コミュニティや社会全体にどのような影響を及ぼしているのかを、現地で質的調査を積み重ねながら、都市政策や移民政策の動きとあわせて分析しています。同じ問題意識のもと、日本でも東海地方や首都圏近郊の外国人集住団地で調査をすすめています。
また移民・外国人などに対する人種主義、マイノリティ差別の問題についても、実態の把握と改善のための取り組み、課題などを関連NGOと協力しながら検討しています。
【氏名】
浪岡 新太郎(ナミオカ シンタロウ)
【所属】
明治学院大学国際学部准教授
【専門】
政治学
【主要業績】
『人の移動と文化の交差』(共著、明石書店、2011年)、『移民の社会的統合と排除:問われるフランス的平等』(共著、東京大学出版会、2009年)、『ポスト代表制の比較政治』(共著、早稲田大学出版部、2007年)、「ヨーロッパムスリムの市民アイデンティティ」『国際政治』(日本国際政治学会・有斐閣、2007年11月)、「フランス共和制とイスラーム」『思想』(岩波書店、2003年5月)
【現在の研究】
日本とフランスにおける社会的排除の集中する地域での住民を主体とした政治運動について研究しています。フランスでは、郊外、特にリヨン大都市圏東部郊外におけるマグレブ系移民出身者によるイスラーム運動について、なぜ彼らはイスラームの名のもとに政治運動を組織したのか、この運動がどのような政治的メッセージを持っているのか、ほかの非宗教的な政治運動とどのような点で異なるのか、この運動がフランスにおける政策の変容にどのように関与できるのか、などの問いについて研究しています。日本においては横浜市寿町における外国人住民の支援運動について、どのような支援が具体化されているのか、外国人住民の要望と支援の間にはどのようなずれが存在するのか、当事者の運動と支援運動とはどのように異なるのかなどの点について研究しています。
【氏名】
園山 大祐 (ソノヤマ ダイスケ)
【所属】
大阪大学大学院人間科学研究科 准教授
【専門】
比較教育社会学
【主要業績】
『日仏比較 変容する社会と教育』(編者、明石書店、2009年)、『比較教育』(監訳、文教大学出版事業部、2011年) 、『学校選択のパラドックス』(編者、勁草書房、2012年)
【現在の研究】
フランスにおける移民子弟教育および貧困層における学力問題について研究しています。外国人の教育問題とは、学習権の機会の保障から学業達成における格差縮小のための施策に至るまでを分析の対象としています。なかでも教育における積極的差別是正策としての優先教育政策(Education prioritaire)に注目しながら、学力格差の解消に向けた様々な取り組みについて検討しています。
【氏名】
鈴木 美奈子 (スズキ ミナコ)
【所属】
一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程
【専門】
社会学
【主要業績】
「ニューカマーの子どもの教育と地域ネットワーク」『外国人市民と政治参加』(共著、有信堂、2000年)、「構造不況のなかの在日カンボジア人‐就業および家族生活への影響」『外国籍住民と社会的・文化的受入れ施策』(平成9‐11年度科学研究費補助金 研究成果報告書、2001年)、「難民経験と世代間関係‐在日カンボジア家族の事例を中心に‐」『関東社会学年報第16号』(関東社会学会、2003年)、「大都市自治体の「外国人住民」とシチズンシップー川崎市の外国人施策の事例から」『外国人 児童・生徒の教育施設と自治体間格差の比較研究』(平成18-20年度科学研究費補助金研究成果報告書、2009年)、「フランスの旧インドシナ難民の受入れ過程に関する一考察」『移民の社会的統合と排除―フランスの現状及び課題を中心に』(科学研究費補助金 研究成果報告書、2011年)
【現在の研究】
日仏の難民政策及び難民の再定住過程について研究しています。「難民」は、難民条約、EU等超国家的諸政策、国家の難民政策にその移動や受入れ社会での生活を規定され、影響を受けています。他方、彼/彼女らの再定住過程は、政変や戦争等の社会変動を経験した人々のディアスポラと人生の再構築過程でもあります。日仏での調査を通じて、受入れ社会の諸条件によって彼/彼女らの人生にどのような違いがみられるのかを明らかにしたいと考えています。特に、ローカルなレベルでの受入れ過程を、地域社会の政策、諸制度、労働市場、言説、表象等から検討します。フランスでは、パリ市及びパリ近郊のアジア系集住地区での調査を現在継続して行っています。日本では、難民の集住する公営団地でヒアリング調査を実施してきました。これらの調査を通じて難民のディアスポラな生活世界とその地域レベルでの展開を、シティズンシップ、レイシズム等の観点から検討します。